2017年02月04日
ワンピースに付いてしまった不明のシミ
今回はプロの染み抜きの現場をご紹介させていただきます
まずは必ず品質表示を確認します
このタグが無いものや、薄くなって見えなくなっているものもけっこうあるので
手触りや見た目などで予測します。
お品物の種類も判断材料にすることもあります
例えば、ニットのセーターに使われるものはおおよそウールかアクリルかな?
裏地はポリエステルかキュプラ、アセテートといったところかな?とか
今回の品質表示は表地と裏地の表示が分離されていない全体表示になっています
なのでおそらく表地はビスコース(レーヨン)と綿
裏地はポリエステルとアセテート
でもパーセンテージからすると表地の金糸がアセテートなのかなぁという予測も一応つけておきます
さて、とりあえず目立たないところで、一通りの染み抜き剤をテスト
OKだったので本番です
まずは万能しみ抜き剤を塗布してガンの水流で打ち落とします
若干薄くなった程度ですね
さて、染み抜き剤を塗布して少し蒸気で熱をかけてみましょう
少しですがさらに薄くなりました
こうなるとシミの種類がしぼられてきました
この染み抜き剤でこういう風にしたら薄くなっただから・・という具合に考えていきます
さて、もう少しシミの種類を絞るために他の染み抜き剤を塗布してみます
あんまり変わりません
やはりあっち方面のシミなんだなぁきっと
最後の最後まで(きっと)(おそらく)という気持ちで自分の中で確定はさせません
これはシミ抜きじゃなくて人生から学んだ事です、笑
これくらいなら色補正で目立たなくできるかなぁと思い、色補正しながら
ちょっとあの反応見てみるか!とある方法が引き出しからすっと出てきたので
さて、ちょっと反応を見るのと、一気にキメたいのでちょっとリスクのあるテストをしてみましょう
別の薬品を塗布してみます
すると・・
シミが黒っぽい色からピンクの濃い色に変わりました
シミの種類が僕の中でほぼ確定しました
洋服の裏側も見てみると、しみが赤っぽく変色しています
ここでまた別の薬品を塗布した瞬間、見てください、右上のシミ
右上だけピンクの濃いシミが消えました
こうなればあとは他の2箇所の同じ処理をしていくだけです
ここまでが大変なんですよね
1着染み抜きするとけっこう精神的にやられます、笑
表地はOK
裏地は?
ちゃんと落ちていますね
~番外編~
実は金糸が使われているから完全に落ちないなぁとあきらめた段階で
色修正(色修復)によって目立たなくしてしまう方法も考えたんですよね
その時に作った色がこれ
生地の色と全然違いますでしょ?笑
でも大丈夫なんです
この品物にはこの色なんです
同じこの品物でも着用されている期間によってまた違ってくるので
毎回この色修正の色は完全オーダーメイドです
どんなシミでもできる限りあきらめずに方法を考えていく
ある意味プログラマのように大量のコードの中からバグを修正していく根気も必要です
あとお客様への納期が迫りくる事へのプレッシャーも一緒です、笑
いつも僕の仕事はそれに似ているなぁ~と、笑